リツアンSTCの長谷川

私は2007年創業の技術者派遣会社リツアンSTCで10年以上勤務し、「さよならマージン」として働いています。

神経芽腫治療後の歯の問題:小児歯科治療の大切さ

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📚 それでは今回の記事の内容をご覧ください。

こんにちは!長谷川です!今日は、神経芽腫という病気の治療が子どもの歯にどのような影響を与えるかについてお話しします。これを取り上げたのは、がん治療が進歩して子どもたちの生存率が上がっている中、治療後の歯のケアがますます重要になっているからです。

神経芽腫とは?

神経芽腫は、腎臓の上にある副腎や背骨の周りにある神経から発生するがんです。特に0歳から3歳の子どもに多く見られます。日本では年間約320人の子どもがこの病気にかかります。神経芽腫小児がんの中でも、白血病や脳腫瘍に次いで発症率が高く、小児悪性腫瘍のひとつです。治療には化学療法、手術、放射線療法、造血幹細胞移植などが含まれます。これらの治療は、がんの進行度やリスク分類に基づいて選択されます。

小児がん治療と歯の問題

小児がん治療の進歩により、70%以上の子どもが治癒し、長期生存が可能となっています。しかし、治療に伴う晩期合併症も増加しており、全身的な問題だけでなく、口腔領域にも影響を及ぼすことが広く知られています。特に、歯胚の欠如、奇形歯、歯根形成不全、顎骨の発育不全などが報告されています。これらの問題は、治療法や治療期間によって異なり、各症例ごとに異なる影響が見られることが予想されます。

症例紹介:11歳11か月の女児のケース

今回紹介する症例は、11歳11か月の女児です。彼女は3歳10か月時に神経芽腫(stage IV)と診断され、3歳11か月から4歳3か月の間に化学療法、手術療法、放射線療法(左側頸部照射10 Gy、全身照射10 Gy)、造血幹細胞移植療法を受けました。また、6歳2か月まで13-cis-レチノイン酸の内服が行われました。

初診時の口腔内所見では、上顎両側第一大臼歯、上顎両側第二乳臼歯、上顎両側第一小臼歯、下顎右側第二小臼歯に虫歯が見られました。また、上顎両側中切歯の唇側傾斜や上下顎前歯部の叢生が認められました。エックス線所見では、上下顎両側第二大臼歯、上顎左側第二小臼歯、下顎両側第二小臼歯に矮小歯、全顎的な歯根の形成不全、上顎右側第二小臼歯の歯胚欠如、下顎左側第一大臼歯の遠心歯頸部吸収が確認されました。

治療とその後のケア

治療は11歳のときから始まりました。虫歯の治療や、問題のある歯の抜去、詰め物を使った修復などが行われました。治療後も定期的に検診を受け、歯の状態をチェックしていくことが重要です。

11歳11か月時より処置が開始され、上顎左側第二乳臼歯、上顎左側第一大臼歯、下顎右側第二乳臼歯の抜去が行われました。下顎右側第一大臼歯には感染根管治療が行われ、上顎右側第二乳臼歯には生活歯髄切断法、上顎右側第一大臼歯には暫間的間接覆髄法が施されました。その後、レジン充填による最終修復処置が実施されました。

虫歯及び歯冠形成不全を認めた上顎両側第一小臼歯、下顎右側第二小臼歯にはレジン充填が行われ、その他の必要な部位には予防填塞が施されました。処置終了後、定期検診が行われ、経過良好であったものの、一部の歯に動揺が見られました。

治療の影響とその対策

化学療法や放射線療法は、歯の形成に大きな影響を与えます。特に、治療を受けた子どもたちの歯や顎の発育に影響が出ることが多いです。これにより、虫歯や歯の形が変わることが報告されています。

化学療法においては、歯の石灰化開始前に治療を開始すると約95%が矮小歯となり、歯冠完成期において約80%で歯根短縮が見られるとされています。放射線療法においては、形成期の歯胚に10 Gy以上の照射を行うとエナメル質形成不全や矮小歯が高頻度で発生し、20-40 Gyの照射では歯根短縮や歯根彎曲、40 Gy以上の照射では顎骨の形成不全や口腔乾燥症による齲蝕の増加が示唆されています。

本症例では、3歳11か月から4歳3か月の期間に化学療法、手術療法、放射線療法(左側頸部照射10 Gy、全身照射10 Gy)、造血幹細胞移植療法が施行されました。これにより、口腔内の晩期合併症として全顎的に著しい歯根形成不全が認められました。上下顎両側第二大臼歯、上顎左側第二小臼歯、下顎両側第二小臼歯に矮小歯が見られ、上顎右側第二小臼歯の歯胚欠如が確認されました。これらの問題は、化学療法、放射線療法、造血幹細胞移植療法の併用によるものと考えられます。

造血幹細胞移植療法は、0~3歳で受けると多数の歯の欠如や矮小歯が認められ、4歳で受けると歯根短縮や矮小歯が見られると報告されています。本症例では、造血幹細胞移植療法と放射線療法、化学療法が併用されており、これが歯や顎骨の発育に大きな影響を与えたと考えられます。

小児がん治療後の歯のケアの重要性

近年、小児がん治療を受けた子どもたちの生存率が上がり、治療後のケアがますます重要になっています。特に、歯や顎の成長に影響が出ることが多いため、定期的な歯科検診が必要です。

がん治療を受けた子どもたちは、歯や顎の成長状態をよく観察し、問題があれば早期に対応することが重要です。これにより、将来的には矯正治療やインプラントなどで歯並びや噛み合わせを改善し、生活の質を向上させることができます。

比較表:神経芽腫治療の影響と対策

治療方法 影響 対策
化学療法 歯の形が変わる、歯根の形成不全 定期的な歯科検診、虫歯治療
放射線療法 歯のエナメル質の形成不全、矮小歯 専門的な歯科ケア、早期の問題発見と対策
造血幹細胞移植 歯の欠如、歯根短縮 正治療、インプラント

参考文献

本記事は、「神経芽腫治療に伴う歯の形成障害の1例」(唐木 隆史ほか、鶴見大学歯学部小児歯科学講座)の資料に基づいて書かれています。この資料は、小児歯科学雑誌に掲載され、神経芽腫治療後の歯の形成障害やその治療について詳細に分析しています。